レディ、虹の橋へ (1月8日 術後210日目)

 

朝、寝床でうんちを少しもらしていたレディ。悲しそうだ・・

食欲は全くない。

AM10時頃と12時頃に牛乳をあげると飲みました。

PM1時 呼吸が荒くなってきたのでおしっこかな?と思って、外へ出してやる。

階段を抱っこして降りると胸が圧迫されて苦しそうなのでベランダに出してあげた。

けどすぐ部屋に入りたがる。

前回でも述べたように、レディは外でしか排泄をしない子なのです。

彼女のプライドはこんな状態でもちゃんと守られていました。

「おしっこしていいんだよ」と言っても座り込んでしまってダメでした。

なのでそこから抱え上げて外へ連れ出しました。

外では太く固いうんちを2回しました。けど、これは力んでではなくただ出たという感じでした。

おしっこは出ない。

夕方頃からあまり眠らずに顔を上げては何かを訴えてきます。

私の足に寄りかかったりお手をします。

私はその時テレビを見ていました。時折レディの体をなでたり声をかけてあげていました。

もうどうしてやることもできない。

「もうすぐだよ・・もうちょっとだよ・・」

そう言ってやるのが精一杯でした。

 

17:51 ダンナからのメール

『レディの様子はどう?急いで帰ってるけど高速止まってて・・』と書いてありました。

確かに今日は朝から吹雪でした。

うんちしたことを知らせる。あと呼吸が荒いことも。

 

夕飯の準備のため台所に立っていた私。時々レディの様子を見ていたのですが、ふと気付くと

レディが寝床にいない!

慌てて見に行くと2mほど離れたソファーの前でひどく荒い呼吸をしていました。

動ける力を振り絞ってソファーのところまで行ったのです。

また抱きかかえて寝床に戻してあげました。

何をしたかったのか、何を訴えたかったのかは分かりませんでした。

18:27 ダンナからのメール

『あまりに呼吸荒いようなら薬をIV(静脈注射)してあげて』

メールには用量が書かれていたのでそれに従って体重から薬用量を計算していたときのこと。

本当にちょっとレディから目をそらして机に向かって計算していたら・・・

ふと振り返るとレディが手足を突っ張らせてのけぞり始めていました。

それは動物病院に勤めていた頃、その動物の死の間際に見た光景・・・

ああ、レディはやっと天国へ逝けるんだと思いました。

 

レディの首を私の腕にのせて抱きしめてあげました。

「大丈夫だから・・・大丈夫。ありがとね。ありがとね、レディ」

とずっと声をかけ続けました。何回か手足を突っ張らせた後、深い深い呼吸をひとつしました。

大きく息を吸ってふぅ〜〜・・・・っと吐きました。

そしてレディの胸は二度と動くことはありませんでした。

やっと息ができたね・・よかったね・・・

レディはやっと自由になりました。

涙が止まりませんでした。もう二度とレディの廊下を渡ってくる爪音を聞くことができない。

寝言も聞けない。

抱きしめながらボロボロ泣いてずっと声をかけ続けた私はそっとレディを寝床に戻しました。

そしてダンナにメールをしました。

『レディは今亡くなりました』と。

すぐに電話が鳴りました。ダンナからでした。

苦しまずにいたか?と聞かれました。苦しかった?死の間際はもう苦しくなかったよね・・・?

あんなに深い呼吸ができたものね。

 

しばらくしてダンナが帰宅しました。

レディの傍へいって黙って頭を撫でていました。最期を看取ってやれなかった悔しさもあったのか

撫でながらダンナも泣いていました。

その光景を呆然と見ていた私。

すると・・・

本当に気のせいではなかったとはっきりいえます。

ダンナがレディの頭を撫でてあげた瞬間、レディの顔がホッとしたような安らかな顔になったのです。

いつもの眠っているレディの優しい顔に。

会いたかったんだね、おいちゃんに。(レディはダンナのことを『おいちゃん』という言葉で理解してました)

ずっと待ってたんだね。よかったね。

 

最期の力を振り絞ってレディはどこへ行きたかったのだろう。

ダンナの部屋の入り口は娘の歩行器があって通れなかったから、居間のレディが寝ていた

敷物の上に行きたかったのでしょうか。

今となっては永遠に分からないことですが・・・

 

夕陽を浴びたレディの姿は本当にゴールデンでした。その姿が大好きでした。

人が大好きで、甘えん坊で寂しがりやで、とても気をつかう賢い子。

私とダンナがケンカをすると必ず間に入ってきて必死になってお手とおかわりを繰り返して仲直りさせようと

していた優しい子。

雪や芝が大好きで、いつも転がっていたレディ。3本足になっても芝生を走り回っていたレディ。

10年間、あっという間だったね。

短大から獣医に受かった時、国家試験に合格した時、おいちゃんと結婚した時、娘が生まれた時・・・

とても辛い時、悲しい時、苦しい時、そしてとても嬉しい時、いつも必ず傍にレディがいました。

 

レディがいたから獣医になれた。

レディがいたからここまで来れた。

レディがいなかったらここまで来れなかった。

レディに会えて本当によかった。

 

レディ、ちょっとだけ待ってて。私もおいちゃんもいつか必ずレディに逢いに行くから。

そしたらたくさん川で遊ぼう。

4本の足を使ってたくさん動いて転がってもいいよ。

もう何も『ダメ』って言わないから。

 

ゆっくりおやすみ。

本当にお疲れ様。   

    

 

         

 

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