あらゆる方法を・・

 

骨腫瘍の診断を受けてから5日後、私達は再び大学へ向かいました。

K先生と手術方法についての打ち合わせがあったからです。

この日までに私達は聞いておきたいことや提案などをまとめておきました。

一方K先生はひとつの文献を探してくださっていました。

骨腫瘍により骨盤半切除を行った犬における生存率や、術後どれだけ運動機能が回復したかという

内容が示されたものでした。

もちろん全部英語・・・

さらっと目を通して「ほ〜」と理解されていくK先生はやはり偉大なお方です・・・

レディの場合、断脚した上に骨盤半分を切除するわけですから、非常に不安定な骨格と

なってしまいます。先生自身も大型犬でこの手術をするのは初めてとのことでしたので、術後どこまで

機能的に回復するか分からないとおっしゃっていました。

しかし、文献上では『excellent』となっていたのでちょっと安心・・

骨腫瘍と診断されても色んな種類があります。

軟骨肉腫・骨肉腫・線維肉腫・・・この中でも極めて悪性なのが一般的によく知られている『骨肉腫』。

骨肉腫と診断された犬の生存率は文献に載っていたもので早くて1ヶ月。

他でも1.6〜3.5ヶ月と驚くほど短かった。

一方軟骨肉腫だと生存率が40ヶ月前後とぐんと延びていました。

骨肉腫以外に期待したい・・・

 

文献を読み終えたところでダンナがK先生にひとつの提案をしました。

手術中、病巣を露出させたところで組織を一部取ってその場で病理検査できないかというもの。

もし骨肉腫なら、断脚してもまた歩けるようになるまでに最悪亡くなってしまうかもしれない。

それなら腸管を圧迫している部分だけを切除して今の苦しみだけでも取り除いてやりたい。

そして骨肉腫以外なら生存率が上がるので断脚という方法をとるのはどうだろうかという案だった。

それに関してはK先生は病理の先生に聞いてみますとおっしゃってくださいました。

また、K先生は手術の他に光線力学療法や術中の放射線治療という案も教えてくださったのですが

前者は非常に破壊力が強く、正常な組織も全部含めてボロボロにしてしまうという欠点や

後者の治療法はここの大学の機械ではやれないという点から除外されました。

 

無知で超未熟な獣医師である私達夫婦の質問や提案に対して真剣に耳を傾けてくださった

K先生。とても有意義な時間をいただけた後、私達はちょっと車を走らせて川へ向かいました。

そこはレディが大好きな川。

夏の暑い日にはよく泳がせに行きました。

この日はくもりで肌寒く、風も強かったので川に入るのは無理だねーと言っていたのですが・・・

レディは自分からザバザバと川へ入って行きました。

水をたくさん飲んで川から上がった後は草むらでゴロゴロ!!とても気持ちよさそうでした。

思えば5月6日の跛行以来1度もゴロゴロさせずに運動制限させてばかりだった。

ごめんね・・

帰りは車の窓から顔を出して風を感じて気持ちよさそうにしていました。

 

レディ またこの川へ来ようね

今度は暑い日にきて体全部ドブンと浸かろう

お母ちゃんもお父ちゃんも一緒に川に入るよ

たくさん泳いでたくさん転がっていいよ

もう「汚れるから!」なんて怒ったりしないから

だから、またみんなで来ようね

 

 

 

 

         

 

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